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fumée d'ambre gris

出来の悪い人。思ったこと、考えていることを書く。何か嫌になったら逃げ込んでくる。音楽を作る。

üme.

ふと気がつくと僕はそこに居た。

本がいくつも陳列された静かな空気が流れる狭い部屋だ。

『ここは何処だ?』
と呟くと何時の間にか左横に立っていた美しい金髪の少女が口を開く。10歳ぐらいだろうか…その整った顔は平面にも立体にも見えた。
『ちょっとした図書館、はいこれ』
そういうと少女は僕に何冊かの本を手渡す。タイトルは読めなかったがⅠ〜Ⅷまで巻数はあった。僕は目の前の本棚に目をやり、偶然目に付いた《ジミニの罪》という本を取ろうとした。するとすかさず少女が、それはまだダメ、と僕を制止する。そして僕に右手を出してと言い僕の右手を取り何かを握らせる動作をした。『この拳だけは絶対に開かないで。そうしたら大丈夫だから。』
『…何を言ってるの?君。ていうか誰?名前は?』
『それはもういいの。それじゃあ行くよ?せーの、『いやいやいや(苦笑)待っ…』
その先が発せられることなく、辺りは直ちに眩い光に包まれた。

 

やがて僕は電車庫に立ち尽くして居た。電車庫なのか巨大な駅のホームなのかはわからない。ただ何十線もの線路が敷かれ、浮島のように配置された十数個の巨大なコンクリートの上にはたくさんの人が居た。
周りには人混みがあり、その視線は上空へと注がれている。僕は彼等の視線を追った。するとそこには何か歪な、ただゾッとする形の何かが出来上がろうとしていた。何だあれ?ホログラム…?あいつに聞けばわかるかな…と僕は親しい友人の顔を頭に思い浮かべていた。そうしている間にも、どんどんそれは姿を帯びて行き、やがて物体となった。
突如、上空に現れた巨大な飛行船。いや、正直あれは飛行船というよりもあの、日本に2つ落ちたアレに近い。間も無くすると

『直ちに避難を開始して下さい』

とアナウンスが流れ出した。しかし人々はどうせ今回も、という風に半ば呆れ顔でだらだらと歩く。僕も何だこれ…と思っていたその時、そこへ何処からか大量の落下傘が降ってき、灯篭が舞い上がり、そしてその飛行船が破裂した。その瞬間、何かが変わった。一瞬の眩い光の後、何かが生まれた。一見何も変わっていないがプレッシャーのような、何処からとも無く視線を感じ、緊張を覚える。そして、その場にいた人々が狂い出した。

 

僕は知らなかった。人間は他の動物にはない、強かで美しいものを持っている。血縁、親族、友人、同僚、先輩後輩、上司部下、それらの関係は互いを認識し、差異さえあれど納得をし、協力し、互いの生活を尊重し生きていたはずだ。だがその瞬間を持ってそれらが全て破綻した。放心状態に陥っていた人々の中で、ある者が突然叫び声を上げ、共にいた恋人を鉄骨でガツガツと殴り出した。そしてそれはやがて水分を彷彿とさせる音へと変わり、止んだ。すると彼は周りにいた妹でさえ、友人でさえ他人でさえも、次々と人々を散らばった鉄骨を拾い、頭が割れるまで殴り続ける。人々は知っているルールも無く、成す術もなくなった時、その際、最初に発起した者の行動が最善だと認識する。誰かが逃げ出したら逃げなきゃ、あいつに続かなきゃ。そこから地獄は始まった、その場にいた全ての人々が叫び、そこら中にある武器になるものを手に取り自分以外の全てを殺し出した。さっきまで子を抱いて愛おしそうにしていた母親でさえ、急に今までを悔やんで思い出の品を捨てるように赤子を地面に投げつけ、悲鳴をあげながら頭を踏みつける。返り血が頬を染める程に踏み付ける。パニックがパニックを呼び、ここに人対人による殺戮の目蓋が切って落とされた。国家など関係ない。人種など関係ない。血縁も友愛も信頼も何もない一対多の殺戮が始まる。悲鳴と唸りと叫びで聞き取れる単語は何も無い。ただ何かその時感じた恐怖を声に変え、発し、人と人は殺しあう。

僕は逃げる。なぜこの場に自分がいるのかさえわからぬまま走り、時には飛び、避け、逃げ続けた。殺しは間違っている。それだけは違うと僕は認識し、右拳を握りしめひた走る。しばらく経つと、僕以外に殺人を行なっていなかった人々が続々と線路へ飛び込み始めた。驚愕などする間も無く、まるで来るかがわかっていたかのように、特急電車が猛スピードで駆け抜ける。ドンドンドンと鈍い音を立て、砕け、中には引き千切れ飛んでいく者もいた。他殺か自殺かの闘争。これはもしやゲームか何かか?映画とか創作で見るあれか?と思ったが、まるで正解がわからなかった。もしかしたら死んでしまうことでこの世界から離脱できるのか?と考えたがあんな風に肉片に変わっていく人を見てそう思うことはできなかった。ドンドン駆け抜けていく電車、ぶち当たる人、宙を舞う腕、それが落ちた先にはスーツの人を嬲り殺す2人組、そしてその2人組も直ぐにお互いを殺し合う。そのすぐ後ろでもその後ろでも殺戮は起きている。左右に目を凝らすと他の浮島でも同じことが起きていた。止めろ!とは言えなかった、そんなの無駄だと普段使い物にならない脳が鮮明に指示を出す。頭が熱くなるのを感じた、脳が、神経が、筋肉が感情が、人が人たる全てが今、僕を突き動かしている。僕の身体は、意識は、その指示に従う。死んではダメだ!殺してはダメだ!逃げろ!走れ!跳べ!その間にも僕の視界には鉄骨やらバーベルやら傘やらが迫ってくる。実に3発の銃弾が頬や頭上を掠めた。曲がれ!伏せろ!右腕を引け!飛べ!

『飛べ!?何言ってんのお前!?』
と思わず僕は自分の脳に話しかける。いいから飛べ!僕は構わず飛翔をイメージし跳躍する。すると僕の身体は宙を舞う。慣性か引力なのか、何かによって引っ張られるが時折チラつくイメージを描けば曲がることができる。あの電線の間をくぐれ!そのまま策を越えろ!走れ!息は上がるが手足は全く止まらない。止められない。不思議な感覚だった。


巨大な車庫を出ると外でも殺戮は行われていた。ある集団がどこから来たのか子熊を殺し、宙に吊るしていた。

『ダメだ!それはいけない!』

と何か本能的に察した僕は声を荒げる、がしかし一向にやめない。何かに駆り立てられ、何かに縋るように子熊を宙づりにする。そしてそれが地上7m程になった時、予期していた事態は起きた。体長5mもあろう親熊が下ってきたのだ。叫んでいる。悲鳴を上げている。何故かわかる。言葉がわかる。怒りを露わにしている。僕は逃げた、しかし親熊はあろうことか僕を追ってきた。ものすごい速さだった。僕は木組みの櫓に逃げ込み、まるでムササビの様に中を飛び回る。親熊は軽やかではないが、一瞬、一瞬の速度で僕に押し迫って来る。遂に天井までたどり着き降下を始める時、僕の脳が言う。1番右から2枚目の床板だけを踏め!従う。すると間髪入れず、1番右の床板とそこから3枚目の床板に親熊は巨大な前足を叩きつけ着地し、対峙する。そして僕らは止まった…無限の様に感じる5秒程の間の末に熊は話しかけてきた。

『お前は何者だ』
僕は答える。
『わからない、あなたこそ何者?なぜ言葉が話せる?そして僕を追ってきた?言っておくが僕はあの行為を止めに入ったんだぞ!』
『わかっている、見ていたからな。』
『じゃあなぜ追う!?』
『唯一その場を見ていた俺がお前を追わなければ、他の熊達に殺されていたからだ。』
僕は逡巡し、諦める。熊は一頭では無かったのだ。
『ということは、さっきの奴らは…』
『もうとっくに喰われている』
『…そうなのか。』
『…なぁ、人間、教えてくれ、今何が起きている?』
『わからない!俺だって知りたい!ただ周りにいた人々があの飛行船の破裂を境に殺し合いを始めた!それだけだ!』
すると熊は無関心そうに呆れた表情で言う。
『そうか…何時だってお前らは迷惑だな。』
博愛主義者の僕としては素直に申し訳なくなってしまい
『…すまない。』
と謝罪した。すると熊は驚いたように
『謝るのか?』
と言ってきた。
『勿論だ。何かおかしいか?』
と僕が言うと、
『…いや、何でもない。他の奴らには俺が殺したと伝えておく。じゃあな人間。』
そう言い残し、親熊はのそのそと去っていった。


僕はしばらく屋内に座り込み、呼吸を落ち着かせつつ、考えに考え続けた。僕は何処へ連れてこられた?何故ここに居る。あの少女は一体何だ?拳を握り、開かなければ大丈夫。とそれだけを言い消えたあの少女は何者だ。第一、拳の中には何も入っていないだろう…。ふと僕は不審に思い、僅かなためらいの後、勇気を振り絞り、握り続けていた右拳を開いた。

 

 

 


壮大な夢オチです。マジで心臓ばくばくですぐに吐き気に襲われ、トイレへGO!未だに映像と音と悲鳴と飛ぶ感覚が脳から離れません。僕、空飛べるんじゃないかな…飛ぶというより滑る感覚、目的地まで引っ張られる感覚。

はい、ヤメヤメ。妄想はそこまで。

 

 

僕はこの地球上に何か災害が起きれば、1番最初に騒ぐのは動物達だと認識しています。虫の報せとかその類です。そして狂い死んでいく。しかし僕ら人間はそうではないと思い込んでいました。だけど、さっきまで僕の夢の中で再生されていた実写ともアニメーションとも似つかぬ少女のアナウンス、辿り着く世界、信じられない光景を目にすると…。いやあれはそもそも災害ではなく人災なのだろうか。
きっとこれは映画なのだろうと何かの創作なのだろうと思った。どこかで観たような気もする。今を輝く俳優達が、はたまたタレントやお笑い芸人、架空のヒーローまでもが参加していて、夥しい程の出演者達が一斉に狂い始める。ホームで狂い始める。
何だかよくわからない風景でした…。

 

 

話は現実と現在に戻りますが、ADHD患者の特徴として夢を鮮明に記憶している、というものがあります。色もニオイも味も音も、その全てが有る。というのも本来は無いということさえ僕は知らなかったし、これが普通だと思っていた…。
じゃあ、皆はどうやって夢を楽しんでるんだ?と思い医師に聞いたところ、もうその夢を楽しむという思考自体が間違っているらしい。

えぇ…、僕は絶句した。もう二十数年そうやって生きてきたのに今更間違いだったとか言われてもどうしようもない。寧ろ楽しもうとせず、どうやってあの苦痛にも快楽にもなる時間を脳内に保管すればいいのか。
『夢から覚めて、もう少し続きが見たい!と思って再び眠りについたら、その夢の続きを見ることができるじゃないですか、そこはどうなんですか?』
『普通、見れない』

と医師、二度目の絶句…。

『じゃあ、皆は見た夢とかどうしてるんですか?』

『普通、忘れる』

『ハッハッハッ(空笑い)』

顔はサンドウィッチマン富澤たけしに似てるんだから、ちょっと何言ってるかわかんないっすね、ぐらい言ってくれれば面白いのに。ユーモアの無い医師だ。いや親身になってくれるし良い人だけど。
あぁ…何が何処で間違ったんだろう、と考えを巡らすがそんなところでは、なーーにも解決しない。

 

 

あと、話は少し変わるが、この見た夢を文字で記録し、残して行く行為を《夢日記》というらしいのだが、これもまた精神心理学、脳神経学的に良くないものらしい。

詳しくは下記サイトを参照。

www.toritemi.com


もう驚きも何ともしない。
危険性全てが当てはまっている気がする。
唯一怪しいのは《夢と現実の判別が付かなくなる》という項目だ、これはデジャヴ、所謂、既視感というやつのように思えて仕方がない。それともデジャヴが増えるという事態が危ないのか。そういえばデジャヴは記憶障害の一部だった。確かに危ない。

 

まぁ、実際の夢日記は内容や登場人物、場所などを断片的にワードとして書き留めることらしいのだけれど、寝て起きて数時間経ってもこう詳細に語れる時点で夢日記じゃないよね。そもそも書き留めなくても覚えてるしね。

やめてもやめなくても今更変わらない気もするけど、やめたほうが良いという意見があるのならやめておこう。無駄なことはしたくない。とか思っても数日経ったら忘れてまた新しい夢に興奮冷めやらぬ状態で筆を取りかねん。

皆、その度に『やめろ気持ち悪い。』、『痛いんだよ、ホモガキ。』と言って頂いて構わない。僕はその度に思い出し、イカンイカンと自省し、どんどん減って行くだろう…という効能を期待している。

言っておくが僕はホモガキではない。無知という代名詞が嫌いなので、ほんの少し嗜む程度である。基本的には男同士の肉体的な絡みは見たくないし(格闘技は好き)、存在の善悪をどうこう言うつもりもない。ただホモではないと言うことだけは明白にしておきたい。オナシャス!!

 

 

ということで、また。