fumée d'ambre gris

出来の悪い人。思ったこと、考えていることを書く。何か嫌になったら逃げ込んでくる。音楽を作る。

垢とルレーブ -Ⅰ-

耐えきれず大きな欠伸が一つ出た。ぼやけ始めた視界に喝をいれるように頬を両手で二度叩く。

「お〜い、中村。そろそろ上がっていいぞ。」

「あ、はい。ではお先に失礼します。」

上司からの解放発言が出た時が俺の終業時間なのだ。時計を見ると24時を少し回っていた。これがいわゆるブラック企業というものなのだろうか。今日の残業時間は6時間。プライベートの時間なんてほぼない。でも残業代はちゃんと支払われている。それが俺の退社の決断を鈍らせている原因だった。

「お疲れ、雅。」

「おう、圭。お先。」

仲の良い同僚に上がりの挨拶を済ませ出口へ向かう。靴箱を見たところ、俺と圭と上司以外にまだ3人ほど残っているらしい。まだ解放を告げられていないのか、それとも自ら残り続けているのかはわからなかった。いくら週末とはいえ、どうせ明日も出勤しなきゃいけないのに...。不思議には思ったがもうそれ以上のことを考えることが脳にとって負荷であると気づき、ただ帰ることだけに集中し会社を出た。こんな時間でもまだ人はいるんだな...。と満員ではないが座席は空いていない車両を見て思った。ただ、僕より皆元気が残っているように感じられ、何だか自分だけがこの車両内で一番下位の人間であると意識し、突如重苦しい憂鬱が襲ってきた。はぁ、何の張り合いもない。ただ金を欲し必死になって水中から空気を求め浮上するような虚像が現れ消えていく。そう惨めになって来たところで最寄駅に着いた。ホームに降りるとやはり人影は少なく、この町でこんな時間まで労働を強いられているのは俺だけなのだなと呆れ、なんだか面白くなって変な笑みを浮かべて自宅まで帰った。

風呂から上がると時計は深夜2時前を指していてなんだか無性に腹が立ち、そして一瞬でそれは消え失せすぐに失望へと変わった。俺はこうやって毎晩深夜に帰宅し、また明日の朝から労働を始め、一生あの解放宣言を待ちわびるような会社にしがみ付いていかなければならないのか。そんなに苦しいなら辞めればいいと世間は簡単に言うが、それはほかに出来ることがある人間の言うことだ。俺には他に出来ることなんてないし、趣味といえばそこらに生えている雑草を写真に収めるくらいだ。時折花園なぞに赴き花々を撮ることもあるが...。といっても撮影の技術は素人のそれでとても仕事に出来るようなものではない。おっと、また一人問答になっていたぞ、と呟き俺は現実に帰ってきた。早く寝ないと明日の始業に遅刻したら大変だ。俺はすぐに着替え、髪を乾かし、ベッドに潜り込んだ。電気を消し、目を閉じて眠りにつくのを待つ。しかしその日はいくら待てども意識を失うことがなく、必死に瞼を下ろし続けていることが苦痛になってき、遂に起き上がってしまった。そして、これまで生きてきた全ての時間分の忍耐が限界を迎えたような疲れが襲ってきた。そして一種の方法、もとい輝かしい未来が身体中の神経を駆け抜けた。自殺。その先の見えない結末にとてつもない希望と現在からの解放を感じてしまい。そこからは脳が冴え渡ったように計算を始め出した。いつも6時34分の電車に乗り、7時20分に会社に着き始業する。その始業時間に俺の訃報を告げるようにするにはもう2本でも遅い電車に合わせればいいはずだ。都合のいいことに最寄駅には各停の車両しか止まらない。狙いと時間を見定め急行列車に飛び込めば一発で済むはずだ...。自分でも理解できないアドレナリンが一気に解き放たれ、死こそ救世、最後最高の手段だと思考しだした。もう止められない。善は急げ。思い立ったが吉日だ。なんだこの気持ちは。この思考の晴れようは...、まるで今まで気づかなかったのが馬鹿みたいだ。なぜ俺があんな会社で雇われ続けなければいけない。あそこは単なる地獄じゃないか。俺は天国へ行きたい。生憎ガキの頃は万引きもイジメもしたことは無ければ嘘を吐いたことも無い。天国だ...。快楽だ...。遂に俺は救われる...!。そうやって神経を走らせるとドッと眠気が襲ってきた。これで眠れる。そして明日にはこの地獄ともオサラバだ。そう確信し、再びベッドに潜り込む。すると意識することもなく、スーッと視界が狭くなっていった。

 

目を覚ますとひたすら野花が広がる平原に立っていた。

「 ここは...?」

シンプルにそれだけを思い、取り敢えず自分が向いている方角へ歩き出した。スマホも無ければ腕時計もない。というより服装が一式カジュアルな、どこか時代を感じさせる物になっていた。一体ここはどこで今日は何月何日で、何時何分なのかも確かめようが無い。そして自分がどこに向かっているのかもわからない。行けども行けども平原。そして野花が咲き乱れている。いくら歩けど、景色にあまり変わり映えはなく、なんだか不思議な居心地でいた。というのも、自分がここから一生出られなくとも、ただひたすら歩けど何も無いこの風景から解放されなくとも心配する必要は無い。むしろ安全だといった感情が僕の中をいっぱいに満たしていた。すると、遠くの方に一軒屋を見つけた。そのレトロで洋風な外観を見るところ、どうやらここは日本ではない、ということが何となくではあるがわかった。気づいてみれば、周りに咲いている野花は趣味で花園に行った時ですら見たことの無いものが多く咲いている。とにかくあの家に行ってここはどこなのか聞いてみよう。そう思って歩き続け、ようやく玄関の前まで来た。2階の窓だけが開いていて、辺りはしんと静まり返っている。しかし煙突から微かな煙が、鼻腔をくすぐる甘い匂いと共にほわほわと上がっているところを見るとどうやら家主は現在しているらしい。ドアの前に立ったがインターフォンが無い。やはりここは日本では無いのか、と思っているところ、外来を告げるためのようなベルを見つけ2、3回ほど鳴らした。すると一人の綺麗な女性が出てきた。

「あの...」

と俺が問いかけようとすると

「おかえりなさい。お昼は今作ってるから。アーシャもいずれ帰ってくる頃よ。」

と当たり前のように告げられ、台所へ引き返していった。ここまで来るといよいよ僕の頭も真っ白だ。アーシャ?誰だ?というかそもそもあの女性は一体何者だ?そしてここは一体どこなんだ?とボンヤリしていた意識が急に戻ってきたような感覚を覚えた。とりあえず、失礼しますと言って家の中へ入る。すると、彼女が

「な〜に、それ(笑)。珍しい花でも見つけて回心したの?私は今までの貴方が十分好きよ?」

と笑われますますわけが分からなくなった。そしてパニックに陥り頭を搔きむしり声にならない声を上げ藻掻き出した。

「ちょっと、落ち着いて!?一体今日はどうしたの?」

と焦ったように彼女は言う。今日?じゃあ昨日が、その前もがあったとでもいうのか?わからないわからない。俺はあんたとは今しがた初めて会ったハズだ!と心の中で藻掻き続けた。そして、しばらくして落ち着いてから、改めて彼女に問うた。

「貴女は一体誰なんです?そして僕は一体誰なんですか?ココはどこですか?そしてアーシャとは...」

「落ち着いて!落ち着いてよチャール!今日は一体どうしたっていうの?さっき散歩に行くまではいつも通りだったじゃない。もしかして魔女?魔女にでも会ったの?」

チャール?それが俺の名前か?そして散歩に出かけた?挙句には魔女?おいおい、お伽話なんかしてる場合じゃないんだぞ!全く意味がわからない。すると彼女は聡明なのかスッと目を座らせ俺に話しかけてきた。

「お巫山戯なのか何なのか知らないけどいいわ。付き合ってあげる。いい?貴方はチャール、オーストリアハルシュタット生まれの花が大好きな優しい人。そして私は貴方の妻、ミリア。オーストリアで旅をしてる最中に出会って、そこからお付き合いをして、結婚をしてここ、アメリカのジョージア州オールバニに越してきた。そして今学校へ行っているのが娘のサーシャ。貴方と私の子よ。これでいい?合ってる?」

合ってるかだって?それはこっちが聞きたい!が、一心に自分を落ち着かせ脳内を、精神を安定させた。チャール。それが俺の名前。そしてこの見目形の整った女性が俺の妻、ミリア。そして彼女と俺の間にはサーシャという娘がいる...駄目だ。考えたところで全く解決しようがない。今度は俺から彼女に問うた。

「いいですか?奥さん。いや、ミリアさん。私はチャールではなく、名前は中村雅と申します。そして貴女とお会いするのは初めてのハズです。サーシャという娘も知りません。そしてここは一体どこなんですか?」

俺の言葉を聞いた彼女はサーッと顔の血の気を引かせて倒れてしまった。

「奥さん!?ミリアさん!しっかりしてください!」

そう問いかけつつ、ふと玄関に置いてある姿見が目に入り視線を向けたところでひっくり返りそうになった。そこには、その姿見の中には40半ばといった細長い顎髭を少し伸ばし、平均男性より長い髪を後ろで束ねた男性の姿があった。俺は姿見にしがみ付き、自分の顔を何度も触り、叩いた。すると姿見の中の男まで同じ動きをするではないか...。信じられない...雅は...俺はどこにいった?そしてこの世界は何だ?ふと考えようとして冷静になったところで、ミリアという女性が卒倒していることを思い出し、抱きかかえ、全く配置のわからない部屋の戸を何度も開きながらようやく寝室を見つけ彼女をそっと寝かせた。なんだ。なんなんだここは。そしていつの間に俺はこんなに老けた?いや、というより最早日本人ですらなかった...。一体...一体...、そう考えてるうちに玄関を開く音がし、

「ただいまー。」

と可愛げな少女の声が聞こえた。

 

Sometimes for nA0.

僕はどうにもトラウマが消えにくく、ネチネチビチャビチャグラグラ付き纏う体質らしい。それでもなんとか気力を振り絞り知人を遊びに連れ出した。よく知っている訳でもなく、またその逆でもない微妙な大きさで僕の脳内に居座る彼女の笑顔が僕はとても好きだった。いや、今でも好きだ。そんな彼女とは久々に会うけれど、あまり気概は感じられず、ただ普通に「久しぶり。」と声を掛け合うのだった。僕は隙を見ては彼女の横顔を伺う。やはり昔とは違ってどこか大人びた、人間として一つも二つも前に進んでいる彼女の横顔を覗くたびに、自分の矮小さを改めて実感する。明らかに間違いなく、確実に彼女は強くなっている。というよりは大きくなったというのが正しいかもしれない。ズタズタになってボロボロになっても果敢に挑戦する彼女を僕は本当に尊敬している。いやはや頭が上がらない。到底揶揄できない彼女の生き様に僕は日々胸を打たれている。こんなにも何か魅力を感じるのは、これまで互いに生きてきた道程の中で微かな共通点、或は差異があったからであろう。

両親の愛を欲してきた彼女と、両親の憎しみを感じてきた僕。父親が欲しかった彼女と、父親など欲しくなかった僕。些細な様で奇跡のようにも思えるその立ち位置が、視点が、僕と彼女を強く結びつけているのだと思う。とても繊細で優しかったのであろう彼女の父親と、醜悪で粗相を繰り返す僕の父親。それが苦しくも僕らを惹きつける何かだった。音楽の嗜好が似ているのも、その正反対、むしろ非対象的な父親の存在があったからであろう。

至って普通の、どんな女子供でも欲する、異性からの愛情。それを受け得なかった彼女の傷、またそれを欲してやまない彼女の欲。この感情に僕はいつも心を突き動かされる。愛情を求め、果敢に挑戦する彼女の姿はとても美しい。敗戦に終わったその時を僕は何度か知っているけれど、それすらも輝かしかった。しかし、その敗戦に加担したこともある僕はいつも少しだけ胸が痛む。彼女を傷付けた一人間としての罪悪の念がこの身体の何処かにこびりついて未だに離れない。それ故、彼女と話したり会ったりするのにはとても大きな勇気が必要なのだ。僕がその感覚に挑戦するのが彼女でなければ、彼女の傷を一つでも減らせたのではないかと、ふと我に帰って考えてみたりもする。まぁ考えたところで、思ったところでどうにもならないのだけれど僕はそれを思考することがどうしても辞められない。これが罰だとか、咎だったりとかする意識なのだろうか。未熟な僕の脳や精神では抱えきれない何かになっている。だから彼女が果敢に挑戦し、挫け、諦めそうになった時も、僕はあるだけの力で彼女を支える。一友人として、一人間として、何度でもその背中を抱きとめる。押し留める。そして行って来いと、また無責任にその背中を押し出すのである。醜い。残虐だ。しかしその汚さこそ僕であり、その汚れた生き方こそ僕なのである。救いようのない、消すことのできない存在。だからもう二度と過ちを繰り返さぬ様、僕は彼女が行う様な挑戦から逃げ出した。それもたった一度で。

弱いな、小さいな僕は。人間が保護したりする動物以下に、僕は知恵を与えられた獣である。醜いな。醜いな。

しかし、そのまま留まるわけには行かない。そうしてる間に生命は縮み、身体は竦み衰えていくのである。そしてその限界が来るまでに、僕は何としても形を残さねばならない。これは義務だと自分で言い張る。強制する。そして彼女だけでなく、これまで触れてきた僕に関わる人、またその僕の行いで触れる人間、獣に、いまひとつ、傷を癒せる様な、無責任でなく背中を押せる様な何かを残したい。たとえそれが形而上のものであっても構わない。ただそうしたい、そうしたいがだけに僕はこの世にしがみ付いている。さもなくば馬鹿な、白痴な獣として終わってしまう。これは何としてでも避けたい。これまで僕に触れてくれた人のためにも、ただ単なる僕のエゴの為にも、そして、一度傷付けた彼女の為にも。

今日も僕は鳴らすのである。歌うのである。書き留めるのである。

 

そうやって、生きていくのである。

時に、彼女に勝利が幸福が訪れるように…。

生存報告

自分で思っている以上に僕の身体及び精神の状態は芳しくないらしく、遂に長期休暇を与えられ、地元に帰ってきた。知り合いに会うのがとても怖く、迂闊に街を歩けないのだけれど、親に滅茶苦茶に揶揄されたので今日、髪を切りに行ってきた。そこはいつも通っている美容室でアーケード街の外側にポツリと営業しているのだけれど、従業員の年齢層は比較的若く、また僕のことを幼少時から知っている人達なのでそこについての恐怖は無い。むしろ安堵を覚えるくらいだ。馴染みの美容師さんに「これ地毛?(笑)。」と言われ、改めて自分の毛量が他に比べ多いことを自覚する。「もちろん(笑)。」と返すと「もう少し少なかったらそんなにボサボサには見えないんだけどね〜」とぼやかれ一般男性に比べやや長めの僕の髪に鋏を入れられた。切り終えた自分の姿を見るとあまり長さは変わっていない様だが、どこかスッキリしたように感じられ、美容師さんってすごいな〜と感心した。それも束の間、今度は自分の顔が目に入ってき、その醜悪さたるや、引きつった笑みに伏し目がちな目を向けられ、あやうく失神しそうになった。それでもなんとか踏み止まり、会計を済ませ「またね!」と言われ店を後にする。小腹も空いたし夕飯時には良い頃合いだったので、これまた馴染みのあるラーメン屋さんに行った。ちゃんと舌が覚えているその懐かしい味に、少しホッとし、そしてまたいつの日かの様にいくらかマケてもらって、僕のお財布も安泰。そしてキツイキツイ坂を登り帰路に着いた。

昨日はこれまた馴染みの深い、というよりはもう親類の一部の様にも感ぜられる英会話教室の先生とカラオケに行った。またその英会話の先生の歌唱力も賜物であり、美声を完璧なビブラートで装飾する。僕はう〜んと内心唸りながら、どうやったら出来るものか必死に勉強していた。当の僕は、以前に比べ発声の種類がいくらか増えたのと、声域が広がったというぐらいで歌唱力に関しては全くのド素人である。ホイッスルボイスが使えたら...ビブラートが綺麗に使えたら...と悔しさを感じながらも気持ちよく、そしてありったけの感情を込めて歌った。それについて、先生は褒めてくれるけれどやはり自分ではまだまだ納得いかない。なんとかしなければと思いつつも、いつの日かの自分よりは多少成長を感じられ、進歩はしてるんだな、と生物としての再認識は上手いことさせられることができた。また僕の音楽についてもとても関心を持って触れてくれるのでそれも嬉しい。音楽についてまともに会話ができる人がいるというのが僕にとって唯一の楽園、或は居場所なのかもしれないと、死にそうな脳でボンヤリと思うのであった。

さてさて、もう少しばかり地元に居座ろうと思うので、知人には良ければ声をかけてもらいたい。またあの地獄の様な所に帰るまでに、多少のアイテム、装備が必要だ。なにせ僕は人よりも持っているモノが少なく、なによりキャパシティがとても小さい。この矮小で貧弱な身体と精神を支えるためにはそれなりの武器が必要だと自覚している。そしてそれが何であるのかさえも熟知している。僕はこの短い帰省時間に、多くの武器を手にし、そしてそれをあいつと作らなければならない。それだけが、それらの人達だけが僕を生かしているのだと今しかと実感し、人間として生存を続けている。そしてあわよくばそれが人の為になれば、と今も、そしてこれからも願って止まない。

-kanojora-

どうにもこの季節は僕には合わず、ひたすら雨に生きていることを冒涜されている気分です。そしてこいつが出来上がりました。

 

今回はやりたいことを時間をかけてやりました。その最中もひたすら外は雨。

だからかどうにもこうにも、爽やかなサマーソングを、と思っていてもジメジメと湿気が這い回る楽曲になってしまいました。

ジャケットは詩にも出てくるし、暇だし、ということで自分の左手を描きました。

この曲で救われる、または少し、気分だけでも、晴れになる人がいればいいなぁ...とシメジメ思ッテオリマス。

 

 学校、会社、友人、家族。

その全ての居場所が無いアナタへ。

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「シーガル」

 

ただ笑い合う

それだけが僕等はどうしてできない

もう君の嘘にも本当にも気付けなくなってしまった

 

汚れてしまったこの手首にガーゼを当ててくれよ

代償はいくらでもある

金でも身体でも道徳でも

 

ねぇ、She/Girl

答えは何処にも無いなんて

それは暴論 剥き出しの憎悪だっけ?

そうやって僕を、私を傷付けてきたんだろう?

 

それでも僕らは踏み込み、また惨めになる

誰よりも大人にならなくちゃいけなかった

誰よりが君だから

焦燥、嫌悪、混ざり混ざって 

傷付いた優しさが美しく悲鳴を上げる

 

居場所のない心が叫ぶ

 

ただ愛し合う

それだけが僕等はどうにもできないみたいだ

もう君の顔も身体もこの眼には映らなくなった

 

She/Girl

シーツに包まって僕を撫でる君が今でも此処に居るみたいだ

可笑しいよね

でも消えてくれないんだよ

 

そうして僕らは、ハミ出して生ゴミになる

誰よりも大人にならなくちゃいけなかった

焦燥も嫌悪も混ざり混ざって空回る

胚胎したこの子が美しく悲鳴を上げる

 

居場所のない心が叫ぶ

 

それでもまた僕らはまた踏み出し、また惨めになる

誰よりも大人にならなくちゃいけなかった

誰よりが君だから

焦燥、嫌悪、混ざり混ざって 

傷付いた優しさが美しく悲鳴を上げる

 

居場所のない心が裂ける

居場所のないことを叫ぶ

まるで空が見えないかのように

 

追悼 to 追憶

7/20、アメリカのロックバンド、Linkin ParkのVo.チェスター・ベニントン(Chester Bennington)が死去した。死因は絞首自殺だった。

 

僕はふと夜中にネットを漁っていたらTwitterのトレンドが『リンキン』『チェスター』というワードで溢れかえっているのを見て希望と、そして一抹の不安を覚えながらサーチした。そして結果、この一抹の不安が強大な絶望として僕の脳内に入って来た。

Linkin Parkといえば2000年代初期、ニューメタルなどで溢れかえっていたアメリカのロックシーンに『Hybrid Theory』というアルバムを携え突如出現したロックバンドで、ニューメタルを軸に様々なジャンルの音楽をロックに取り込みオリジナルのジャンルを確立させ世界的に有名になった。尚、現在の全世界累計アルバムセールスは5,500万枚以上を記録しているモンスターバンドである。僕が彼らに出会ったのは中学生の時だった。一友人が持ち込んだ一枚の音源で、当時つるんでいた仲間は狂喜乱舞、一種の興奮を覚え、ドンドン色々な音楽にのめり込んでいった。僕が音楽にマトモに興味を持ち始めたのもその頃、もといその根源が何を隠そうLinkin Parkであったのだ。

何重にも重なったリズムにシーケンサーサンプラーを使ったFX、そしてメタリックなギターリフとベースライン。その中で絡み合うように紡がれるラップとメロディー、そしてシャウト。何もかもが初体験で僕は精神に異常を来してるのでは無いか?という感覚を覚え聴きに聴きまくりそして歌った。

当時お世話になっていた英会話教室の先生も巻き込んで夢中になっていた。送迎中は勿論、(これはどうかと思うが)授業中も流していた。

そこで僕はようやく、『激しい音楽はただBPMが速いだけのものでは無い』ということを知った。

中でも僕が中学生の時に出たアルバム『A Thousand Suns』は死ぬほど聴いていた。だが実際はこの1枚は当バンドにとって実験的な意欲作であり激しめな曲が無く、環境音楽ともいえるべき物であった為、賛否が巻き起こった。でも僕はそんな事はお構い無しに聴き込んだ。そのアルバムで初めてアンビエントという音楽にも出会う事になったし、僕の音楽への関心はドンドン深まっていく。それまでの激しいリンキンも好きだったけど僕はこのアルバムが今でも一番好きだ。環境音のよう曲のから始まり、途中でメロディアスな楽曲が並び、そして最後はアコースティックナンバーで終わる。

一気に目の前の景色が変わった気がして僕は音楽が作りたくなった。ギターなんかを買ったのも丁度この頃だった。

これはよく珍しいと言われるのだけれど、僕がギターを買ったのは『あの曲が弾けるようになりたい』や『カッコいいから』という理由ではなく、『僕が作りたい音楽にはギターが必要だったから』という理由である。

だから僕は一心で練習して、簡単なソフトを使って作曲を始めた。とても人に聴かせられるようなものでは無かったのだけれど、それがとても楽しかった。しかし、僕には才能が無いのか、中々上達はしなかった。そして一時期諦めてギターケースは埃を被って部屋の片隅に鎮座していた。

でも高校に上がって吹奏楽というものに出会い、また新たな刺激を受け、再度練習を始め、今尚続けている。それでも上達はあまり感じられないのだけれど…

 

とまぁ、兎にも角にも僕を音楽の渦の中へ引き込んだのはLinkin Parkであり、Vo.チェスターの歌だった。時には優しく繊細に、時には激情がままに熱く。そのコロコロと形を変えるボーカルワークは日本の音楽しか聴いてこなかった僕には充分過ぎる衝撃であり、同時に歌うことにもハマった。

今でもアルバムを再生すればあの頃のあいつらとの記憶、当時抱えていた感情が鮮明に蘇ってくるし、それがとても愛おしいものであるのだと再認識する。

 

そんな彼が突如他界した。僕の脳内は久しぶりに真っ白になった。つい最近も来日して歌を披露していたし、美しかった。そこから此処まで一気に時が駆け抜けてきたのだ。

僕が考えた理由としてはやはりシーンの衰退による精神への負荷と意力の低下だと思う。更に同じくシーンを共に駆け抜け、こちらも一代ムーブメントを巻き起こしたSoundgardenのVo.クリス・コーネルの死もあったのかと思われる。なにせ彼等は大親友であったのだから…。

シーンの衰退に伴うセールスの落ち込み、それに連なるように起きた大親友の死。

もう彼には音楽を続ける事はおろか、生きる目的さえ無くなってしまっていたのかもしれない。

そして苦しくも自殺した7/20が大親友クリス・コーネルの誕生日であったこと等…様々な起因が立ち上がるが真相は知れない。否、知る必要は無いのかもしれない。

僕等は彼等が残した音楽に今日も浸り、日々を生きていくのである。

今後、チェスターを失くしたLinkin Parkがどんな対応を取るのかはわからないけれど、僕はこれからも何度だって彼等の音楽を聴き、足を進めていくつもりである。

チェスターが時代と共に忘れ去られ、時の人となっても、僕だけは彼の事を忘れないでいたい。さて、話も長くなってしまったし最後に僕が一番好きだった楽曲を紹介して終わりにしよう。

まずは、彼等の一番有名な代表曲。あなたもこんな気持ちになったことはないでしょうか?

次に、本当に美しくて、エモーショナルで夜更けに1人で何度もリピートしていたこの曲を。

もう一つはエネルギーに満ち溢れていて落ち込んだりした時に気分を持ち直す為に聴いていたこの曲を。

もしも、よろしければこれを読んでくれたあなたも一度、彼等の音楽に触れていただけたらと思います。

 

それでは、

Linkin Park『Numb』,『Waiting For The End』,『Faint』

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youtu.be

 

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R.I.P Chester Bennington.

 

苦い薬

誰の為にもならない呼吸をして、誰の為にもならない声を出して、何かの間違いで聞いてしまった誰かが僕を『無能』と吐き捨てる。

でも僕はそれが愉快で、傷付けて笑って傷付けられて笑って。奪い、奪い合って。世界はそんなものだと思っていた。便器の周りにに敷いたプラレールに蝋燭を灯して、発車の汽笛を待ちわびる。すると誰かが小銭やピックや写真なんかを便器の中に投げ込んでいく。

『何をやっているんだ!』

僕は慌てて便器に手を突っ込み、取れるだけのものをもぎる様に掬い取り、そして入るだけ口の中に頬張る。細菌か尖った何かか、口内に違和感を覚えるが、感じる痛みも一瞬であっという間に忘れ、また汚物を掬い取る。プラレールを走らせることなんて忘れて、自我を保つかの様に頭を顔を殴り付ける。繰り返し繰り返し、増えてく傷と踊る。その内にどんどん慣れて行き、身体が右へ跳ぶ。跳躍した途端、何故か身体が右へ向く。何かに捻られる。性懲りも無く、学習せず、また、また繰り返す。過ちだけを反芻する。なんだろう、この身体は。まるで言うことを聞かないではないか。父と母は僕を収容所に叩き込む。誰かの号令で4ヶ所に整列させられるが僕だけが右へ跳んで真っ直ぐ走れず居残る。なんでだ。なんでだ。なんで言うことを聞かない。まるでチックの様じゃないか。僕は身体障碍者じゃない。精神異常者でもない!間違っていない!誰だ僕を引っ張る奴は!僕は逃げる様に屋上へ走る。最上階に仰向けに寝転がり上半身をのりだし、目下を眺める。いや、仰向けだから目上か。あれ?あれ?どっちだっけ、まぁいいや。だって僕はいつでも消える準備が出来ているから。あなたが指示してくだされば僕はすぐにいなくなる。それ程までに優しくされていたことを、僕はここで漸く気づく。全く持って出来損なった脳だ。心だ。それでも誰かに褒められたくて、認めてもらいたくて、頭を胸を掻き毟り転げ回る。上手く動かない身体、伝わらない芸術、思想、観念、無。

どこまでが夢で何処までが現実か、それはわかるのに虚構を現実に持ち込んでいる。僕は悪者だ。間違っている。供物を捧げればいいのか?浅ましい絵を描けばいいのか?お前の欲しいものはなんだ?どうしたらこの地獄から帰って来られる。フラスコ、ビーカー、メスシリンダー。僕の臓器をどこへ納め、何の実験をさせるつもりだ。

あぁ、ちくしょう。なんで産まれてきたんだ。お前なんか消えてしまえ。

 

耐えられなくなった僕は首をカッターで切り裂き、覚醒。ーpm20:58ー

 

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昔日の遺産

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「アール・ブレッヒェンは夢を観る」

 

 

傲慢な太陽の下
気をつけて、と薄化粧をした母が忘れられず貴方は泣けない。 
罪に意識があるのなら、瞬きを、呼吸も止めて、ジツと空を見つめてください。

そして土にその眼を埋めてください。

厭世への忌避を、贅沢を止めてください。

 

あの子が泣いたら、ハンケチをあげてください。

その子が欲しがつたら、尾鰭をあげてください。

この子が歩けるようになつたら、翅を千切つてやつてください。

それから、夢と少しばかりのを菓子を与えてください。

あとは…いいえ、それだけです。


僕は涙を流すやふに、けふも左脳を殴り

大好きだつたを菓子を思ひ出します。

ボンタン飴さふだ、そいつだ。


燦々と輝く黄色い果物に僕は奴の首吊りを夢に観ます。

唄へばやがて降り出すでしやう芳醇な雨に、酸味を伴ふその痛みを...
    

ふと見上げた空には陳列されたジュラルミン

一つ一つ磨かれ、まるで星のやうでした。
何時のことだらう。
未だに脳裏から離れなませむ。

 

静観な僕….。